こんにちは、エニシカです。いつもは製品をご紹介することが多いブログですが、今日のテーマはレザークラフト独特の技術「革漉き(かわすき)」です!少しマニアックですが、美しい製品を作るための見えない工夫、仕上がった時には見えなくなってしまう場所にこめられた技術を少しだけご紹介します。

「革漉き(かわすき)」とは

革漉き(かわすき)とは、簡単にいえば革を薄くする技術のことです。
革製品は張りのあるなめらかな質感が魅力ですが、そのまま縫い合わせると表面に縫い代部分の凹凸が出てしまったり、折り返すとボリュームが出すぎたりする場合があります。皮革は弾力性、厚みがあるためです。

何も加工しない場合、使いこむうちに変なアタリが出てしまうことも。また天然素材のため、必ずしも作りたい製品にぴったりの厚さの革があるわけでもありません。

そこでレザークラフトでは、機械やナイフなどを使って革を薄くする技術が発達しました。縫いしろなど端部分を薄くしたり、美しく折り目ができる溝を作ったりなど、さまざまな加工をパーツの段階で行っています。また革全体を薄くすることはベタ漉きといい、小物は工房で、大きなものは外部にお願いしています。

革漉き機を使って

こちらが工房にある革漉き機です。ミシンのようですが、回転するローラー状の刃の上で、革を左から右に滑らせて削ります。手作業で、専用のナイフを使う方法もあるのですが、鹿革は柔らかく伸びやすいためこちらの機械を使用しています。削り方の細かい調整ができ、いろいろな用途に応じた形で漉くことができます。

鹿革ならではの工夫

部分的な加工の場合は、最終的に仕上げた時の革の重なりが表面にどう影響するかを考え、どれくらいの厚みを残すか決めています。ジビエ鹿革は一枚一枚の個体差が大きく、下準備の漉き作業もそのつど試行錯誤で進めています。また鹿革は柔らかいので、強度を保ちながら薄くすることにも十分注意が必要です。

最後に

ENISICAは一枚仕立てのバッグも多く、さらりと仕上がっているように見えると思いますが、裏にも工夫があるんだな、と感じていただければ幸いです。今後も機会があれば、ENISICA製品の技術的なお話もお届けしたいと思います。ぜひ、今後も楽しみにお待ちください。