鹿革に水をかける──。
そのやわらかい手触りから、いろいろとデリケートなのでは?とご質問もいただくことがある鹿革。
今回は、牛革とは異なる鹿革の特徴を深堀りするシリーズ第一回として、エニシカオリジナルのジビエ鹿革で水濡れの実験をした様子をお届けしたいと思います。ご購入後のお手入れの参考にもなれば幸いです!

肌ざわりに優れた、ヌバック調のジビエ鹿革+撥水加工

エニシカで使用しているのは、表面をやすりで削り、なめらかに起毛させたヌバック調のジビエ鹿革
エニシカのオリジナルで、革本来の魅力を引き出し、革のカシミヤともよばれる鹿革ならではのしなやかさが特徴です。

・しっとりなめらかな手触り
・空気を含むような温もりある質感
・本来は吸水性が高い

撥水(はっすい)機能はハギレでも完成品と同じ

この特別な質感を損なうことなく、さらにデイリーにも安心してお使いいただけるよう、私たちは撥水加工を一枚革の状態で施しています。そのため、ハギレであっても撥水性能は完成品と同じ品質というわけです。
とはいえ、本当に水に強いのかどうか。
気になっても、お客様が実際に水をかけるわけにもいきませんよね。というわけで、アトリエで行った実験の様子をご紹介します。


水を吹きかけて、確かめてみる

霧吹きでハギレに水をふわっと吹きかけてみました。
すると、水滴はコロコロと表面を転がり、すぐには浸み込んでいきません。
突然の雨など、このコロコロしている段階で軽く払い、ハンカチなどで軽く押さえて水分をとればダメージは少ないかと思います。
ただし撥水といっても防水ではありませんので、長時間濡れたまま放置すれば、水分は徐々に浸透していきます。撥水しているうちに、すばやく対応するのがベストです。

撥水加工はわかった!でも、もっとぬれてしまったら?

じゃあ、もっとぬれてしまったらどうなるの?というわけで、今度はエニシカの6色のハギレに水を叩き込むようにして、浸み込んだ状態にしてみました。浸み込んだ部分は色が濃くなっています(机の水分は除去)。
※革がまだ新しく、ものによっては撥水したまま乾いてしまうため、強制的に浸み込んだ状態を作りました。


乾いたあとの様子

数時間後、乾燥したハギレを手に取ってみると──

・目立ったシミや輪ジミは見られず
・革の表情も変わらない
・手触りもしなやかなまま

あれ、どこか変わった???とても自然な仕上がりでした。

実は、銀面(革の表皮)がないヌバック加工の革は水の染みができにくいんです。意外かもしれません。
さらに鹿革は油分やコラーゲンを多く含んでいるため、水分が浸み込んで、乾いた後も繊維が固くなりにくいんです。もし固さが出てしまった場合は、少しもむようにすると、柔らかさがよみがえります。


もういちど濡らしてみる

あまりに変化がなかったので、試しにもう一度、同じ革に水を垂らして放置してみました。一度水を叩きこんでいる部分から、早めに吸水していきます。
そしてもう一度自然乾燥(机の水分は除去)。やや波打ちは見られましたが、輪ジミや色ムラといった大きな変化は見られませんでした。

日常生活でふいに水に触れてしまっても、慌てず対処すれば大丈夫、と思えます。実は、エニシカ製品が洗濯ができる理由も、鹿革ヌバックのこのような性質があるからです。
とはいえ、色のついたインクやコーヒー、調味料にはお気をつけて。革にとっては強敵です!

もし、雨に降られてしまったら

濡れたところは軽く拭き、濡れた部分は服などでこすらないように移動してください(色移りを防ぐため)。帰宅したら、形を整えて陰干し・平干しに。
乾いたら、できれば軽くブラシをかけてあげると風合いが保たれます。市販の防水スプレーをかけていただいても大丈夫です。洗濯の様子は以前のブログをごらんください。

日常の、エニシカの鹿革のお手入れ方法も動画にまとめてありますのでよろしければご覧ください。動画内では下記のお手入れ4つを紹介しています。
コロコロをかける
革用ブラシで軽くブラッシング
水気をかたく絞った布で軽く拭く
消しゴムでの汚れ落とし
※革用クリームやオイルなどは必要ありません


さらに長く愛せる革製品のために

エニシカでは、ご購入後の修理をはじめ、クリーニングや染め直しなど、自社製品のアフターケアも承っています。長くお使いご愛用いただけるよう、革の状態やご使用の頻度に応じて、最適な方法でサポートいたします。


自然がくれた「機能性の高い革」

今回の実験を通して、鹿革の素直な強さを皆様にお伝えできたでしょうか。
柔らかく、軽く、しなやかで、それでいて、水にも強い。
鹿革は機能性の高い革です。
エニシカの製品は年齢やライフスタイルを問わず、私たちの暮らしに自然に馴染んでくれるように思います。ぜひ長くお使いいただければと思っています。