こんにちは、ENISICAです!
皆様、長野県の諏訪大社を舞台にした「鹿の國」という映画が全国的にヒットしているのをご存じですか?
ENISICAスタッフとしてはこのタイトルだけでも行かなければ!と思った作品ですが、ポスターにも使われている少年の「生き神様」や、鹿などの頭部を供える「御頭祭(おんとうさい)」は、自分のような地方都市の人間からはちょっと異世界の話。ポスターの神秘的な雰囲気にも惹きつけられるものがありますよね。

向かったのはENISICAからも近い神戸・元町映画館さん。休日は上映直前だと席がとれないかもとのことで、念のため午前中にチケット購入。上映中はやはりたくさんのお客様!鹿とはまったく関係のない友人も、鹿のドキュメンタリー映画がヒットしてるらしい!と知っていたので、ドキュメンタリーとしてはかなり珍しい出来事ですよね。

見終わっての感想 -狩猟文化と稲作文化の共存-

長野県がジビエの産地で、昔から肉食文化があったのは知ってたんですが、縄文時代に人口が多かったことや、古い文化や遺跡がたくさん残ってることは、この映画で初めて知りました。御頭祭(おんとうさい)も、江戸時代の記録には75頭の鹿の頭が供えられたとあり、なかなかワイルド。狩猟文化を強く感じる祭礼です(※今は剥製を使用)。鹿の罠猟の映像もあり、いのちを頂いた上で鹿革を使わせて頂いているのだ、という思いを新たにしました。

かと思えば、豊作を願う稲作文化の行事も描かれていて、複合的な文化の在り方に日本の長い歴史を感じました。諏訪大社では今でも「鹿食箸(かじきばし)」「鹿食免(かじきめん)」というものが頒布されていて、このお箸やお札を持っている人はお肉を食べてもよいとのこと。仏教伝来後に肉食がタブーとされた文化のものだそうですが、いつか諏訪大社を訪れ、頂きたいなと思いました。

一見、矛盾してるようにも思えるんですが、この共存状態こそが、諏訪の歴史そのものなんだろうな、さまざまな時代を生きる人々のよりどころになっていたのだろうな、と感じさせてくれます。
再現された少年の生き神様の姿や、鹿肉を食べながら豊作や子孫繁栄を願う芸能もかなり貴重なものだと思いました。

まとめ

長野県・諏訪大社の祭礼を通し、諏訪の美しい四季の映像美、今まで知らなかった古くからの信仰や神話の姿を知ることができ、ジビエ鹿革をお仕事にさせていただいている自分自身にとっても、鹿や自然とのかかわりについて今いちど考えさせてくれる作品でした。

鹿と自然が登場するアニメ「もののけ姫」「鹿の王」、諏訪信仰、諏訪湖などが登場する「君の名は」が好きな方も見ていらっしゃるかも?
あと、おすすめしたいのがパンフレット。表紙にもガイドブックとありますが、通常の映画パンフとは違って、制作陣、研究者、映画に登場する地元の皆様の執筆やインタビューが並ぶかなーーーり濃い内容。ふだんパンフレットを買わない方もぜひお手に取ってみてくださいね。<スタッフS>

作品の情報、上映館はこちら!→ 鹿の國公式サイト